仙人の山に、テルミンの里

数日前に箱根でお会いしたテルミン奏者・やの雪さんとサウンドプロデューサー・赤城さん。お二人は近年、縁あって田舎に越してきたそうだ。音楽家歴はもう20年以上。作業場でもある広いリビングには、シンセサイザーやギターのほかに、見たこともないような楽器やスピーカー、オブジェが並んでいる。ふと窓の外を見ると一面緑。とても居心地のいいすてきな空間だった。

もう何年も前から雪さんとやり取りをしていたが、実際にお会いするのは箱根が初めて。このバイオディーゼルアドベンチャーのプロジェクトのことは知っていて、もし近くを通過するときにはぜひ寄る様に言われていた。その素敵な場所と落ち着いた空間で疲れを取らせて頂くことにした。

雪さんは、約15年前にテルミンと運命の出会いをして、その3週間後には「白鳥」を演奏していたというからすごい。気持ちのいい波動に没頭し、8時間近くも弾き続けていたこともあるそうだ。いくつものテルミンの中から見せてくれたのは、雪さんが敬愛をもって「てるじぃさん」と呼ぶ、真空管を使ったとても貴重なRCAテルミン。これはなんとレフ・セルゲーヴィチ・テルミンが80年前に自ら作った貴重なものだ。

その優しくて深い音色といったらすばらしいものだった。ちょっぴり僕も少し手を振らせてもらったのだけれど……なんて不思議な楽器なんだろう!

聞けばフリーダイバーのジャック・マイヨールも、雪さんとテルミンに出会っていた。同じ波動をもつ者同士、話をせずともすっかり息が合ったのだという。彼が亡くなったとき、このテルミンで弾いたレクイエムを捧げたのだそうだ。ジャックからもらったというブルーのタオルが、テルミンの上に優しくかかっていた。


雪さんとテルミンのすばらしい世界を曲として生み出すのが、サウンドプロデューサーの赤城さんだ。赤城さんがテルミンのために作った曲を聴いて、僕は心を打たれた。

その80年前に作られた真空管のRCAテルミンの音色は、電子の音ではなく人の声に聞こえる。そして、その声に息継ぎがないので、人を超越した神の領域の音とつながり、音の波動も、あの世の世界へ引き込むような妖艶な響きを持つ。

聞かせて頂いた赤城さん・雪さんのCD「eyemoon 〜やの雪 and Aeon〜」は、電子古楽器のテルミンに中世の古楽器を使って、さまざまな世界を見せてくれる。中でも「Song For The Death」はぜひ聞いて欲しい。

ここは時間の流れが違うんじゃないかな!? と思うほど時間はあっという間に過ぎていく。最後はフライパンから油も注いで頂いて記念撮影をパシャリ。

赤城さん、雪さん、とても楽しい時間をありがとうございました。またぜひお会いしてお話したいですね。次回のコンサートも心待ちにしています。

7月に撮影したフリーダイビング世界選手権のスライドショーに合わせて、バックに流す曲を作っているところだ。慣れない曲作りをしていると、映画音楽を手がけるベテランの赤城さんが直々のアドバイスをしてくれた。音の組み合わせ方のコツを教えてもらったり、水の中の音も即興で作って頂くなどお世話になりました。今曲作りを頑張ってるところですよ〜

左は、「eyemoon 〜やの雪 and Aeon〜」のCD。写真右は、RCAテルミンの音色はやはり80年前に作られた同世代のスピーカーがやっぱり相性がいいようだ。CDに録音する時にそのテルミンの音域はすべて収録できないそうだ。やっぱり生のRCAはすごい!

雪さんのHP…… https://www.yano-yuki.com/
eyemoonのHP…… https://www.jvcmusic.co.jp/theremin/index.html
テルミンとは?…… https://www.jvcmusic.co.jp/theremin/whats/index.html

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