江戸は理想の循環型社会

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この広重美術館には、約2000点の作品を所蔵し、毎月テーマをかえて展示替えを行っているそうだ。梅澤さんが自ら館内を丁寧に案内して頂いた。
広重と浮世絵。これがまた知っているようで知らないことばかり。「歌川広重と安藤広重って同一人物?」「浮世絵って一枚いくらくらいで売られていたの?」「浮世絵の絵の具は何を使っていたの?」……などなど、質問をペラッとめくると回答の書いてある子供向けQ&A方式に夢中になった。これはむしろ大人向けでも断然わかりやすくておもしろい!!
 浮世絵を見ることで、江戸時代の人々の暮らしや生活の知恵を、細かく解間見ることができた。それは、疑問が投げかけられている私たちの現在の暮らしを振り返ったり、参考にしたりするのに、非常に役に立つことばかりだった。当時は電気もガスも当然ないから、皆がある資源を分け合って、自給自足の生活を送っていた。例えば紙の再利用や壊れたものを修理して使ったりすることも、今では「リサイクル」という言葉が使われるけれど、当時はそんな言葉もなく、当たり前に行われていたことなのだ。
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人間の欲望が大きくなり、文明も大きくなる一方で、様々な問題も抱えている。「”足るを知る”って、本当にその通りだと思うんです」と梅澤さん。うん、本当ですね、この言葉をもう一度たち返る必要があるように思う。
館内は撮影禁止のため、ここではあまり写真でお見せできないのだが……許可を頂いて唯一撮ったのがこちら。「江戸時代の屋台そば屋」を再現したもの。「みんなで作ったんですよ〜」と梅澤さん。実際に作ってみると、この移動そば屋がいかに能率的にできているかが、わかったそうだ。でも想像以上に重い。昔の人の”タフを知る”……だ。
併設されているカフェで涼みながら、もう少しお話を伺った。梅澤さんはある本を見せてくれた。それは江戸の様々な生活について書かれている本だった。「これを見たときから、私たちの美術館が向かうべき方向が見えたんです。堅苦しくてわかりづらい美術館ではなくて、ここで楽しんでもらうにはどうしたらいいか、常に試行錯誤しています」と梅澤さん。
お話がとてもお上手で楽しませてくれる梅澤さんに率いられ、浮世絵のこと、江戸時代の暮らしのこと、美術館のことも伺うことができて、とても楽しい時間だった。

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