米澤さんと白神へ vol.02 –マタギが歩いた恵の山–

FDW14683.JPG
津軽峠に車をとめて、”マザーツリー”を見る。まだ斜面を登る前で、たくさんの植物のことを教えてもらう。ヘーゼルナッツの仲間のツノハシバミや、殺菌作用のあるホウノキ、新芽の美味しいハリギリ、染料や胃腸薬になるキハダ……わずか100mほどの間に、食べ物や薬など人にも役立つものがこんなにもたくさんあったとは。この自然の恵みも、当然知らなければ通り過ぎてしまうだけ。米澤さんの教えてくれることがすべて楽しくて、目からウロコなことばかりだ。
そこから”高倉の森”への山道に入る。30分ほど歩いていくと、”世界遺産地域”の小さな看板。ここから先が世界遺産なのだそうだ。薄緑の部分は緩衝地域、濃緑の部分は核心地域。僕らは今その世界遺産区域の隅っこにいる。
わずか数十年前までは、マタギたちはこの森に入り、冬にはクマ獲りやキノコ、山菜を採り暮らしていた。1993年からは世界遺産に登録されたので、動植物は保護され獲ることはできない。
「昔は村の人は、肉といえば野獣だったんです。クマ、ウサギ、カモシカも。当時、冬はとくに村の中でこもって生活をしていましたから、燻製などの保存食にしていたんですよ。山菜やイワナ、ブナの実もそうです」
厳しい冬を越えなければならないのは、動物も人間も同じ。この白神の恵みを頂いて、人は生きてきたのだ。

カテゴリー: around Japan パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です