古代葦船が、甦る

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2日前の夜、おむすび村のキャンプ場で、偶然ある男性と出会った。
その人の名は石川仁さん。
僕はその日、夜遅くに到着し、真っ暗闇の駐車場にバスコファイブをとめた。石川さんはその隣の車にいて、少しの間話をすることになったのだ。
彼とは初めて会ったのだけれど、名前はよく知っていた。
もう20年も前、僕がバイクでサハラ砂漠をひたすら走り続けていた時、同じ砂漠を石川さんはラクダで旅をしていた。その後、チチカカ湖や世界の様々な場所で葦船を作り、航行。
そんな冒険で名前をよく耳にしていた石川さんと、ここで偶然出会うとは思ってもみなかった。
「じつは今、名古屋のど真ん中で葦船を造っているんですよ!」という。
写真でしか見たことのない葦船を、都会のど真ん中で造っているとは!どうしてもその姿を見たくて、名古屋の中心部まで足を延ばした。
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葦船の全長は12m。足組の上に浮かせるようにして形を造る。葦を束ねて、縄でくくっていく。この時はちょうど数人が石川さんの指示で縄を操り上から下から作業中。船の中心部の葦を束ねて中へ入れる作業を行っていた。はっぴを着た仲間たちは、仮想の町内会”えびす町内会“のメンバーたちだ。
背後では、鉄でできた船のオブジェが船首を上げてせせり立つ。
その目の前で、数千年前から存在する原始的な葦船を、人力で作り上げていく。
速さや効率を求めるあまり、地球を壊していく人間の現代と、
かつて自然と調和したものづくりを大切にしてきた暮らし。
その二つの相反する姿が重なって、鳥肌がたった。
僕ら人間は、今まさに問われているはずだ。いったいどちらを選ぶのか?と。
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船首の葦一本一本に、人々の願いが書かれていた。
「出来上がったら、お伊勢参りをするんですよ」と石川さん。
昔、人々は生かさせて頂くありがたさを伊勢神宮に感謝するお参りをしていた。
それを”お伊勢参り”や”おかげ参り”と言い、この葦船で行くそうなのだ。
この葦船の名前は「葦船ひかり」。
凛々しく水に浮かぶ日が待ち遠しい。
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