午前11時少し前。リーさんの知り合いである、韓国でBDFを作っている会社のひとつを訪ねた。日本出発前からぜひバイオディーゼルプラントを見せて頂きたいと、強くお願いしていたからだ。
向かったのはゼンラドウ県にある「Eco Solutions」社。入口からは超巨大なタンクが見える。大きな敷地と施設に驚きつつ門をくぐると、社長のキムさんみずから出迎えてくれた。韓国では個人でBDF精製が禁じられており、認可されたBDF精製企業はどの施設もこのように巨大だ。なぜなら、石油と同様の浄化施設が義務化されているためだ。
ここ「Eco Solutions」では年間8万5000キロリッターのBDFを精製している。廃食油は回収業者を介して、もしくは直接、フライドチキンなどのチェーン店や飲食店などから収集している。
「フライドチキンなどを揚げた油は、なかなかBDFには向かないのでは?」と聞いてみると、回収の中間業者が異物や水分などBDFにできない成分をできるだけ取り除いた状態で納品してくるので大丈夫なのだそうだ。
精製の方式は、一般的な水洗い・脱水式。だが日本と大きく違うのが、最後に蒸留しなければならないことだ。
「政府の取り決めはありませんが、じつは製油会社が求める基準が蒸留したBDFなんです。納品先は製油会社しかありませんから、このスタンダードに合わせます。この蒸留したBDFを製油会社が収集し、B5として(実際は2%混合)軽油に混ぜて売っています。大体の一般の人は、BDFが混ざっていることを知らずに使っていますよ」
韓国の基準はヨーロッパと同じEN14214。すべてが廃油なわけではなく、輸入したジャトロファや大豆などのバージンオイルも使用しているそうだ(この部分は森林保全などの環境の問題と関わってくるので、もう少しリサーチが必要だ)。
施設はものすごい巨大だった。反応タンクは一度に33トンほどの量を反応できる。最終工程の蒸留には、方法の違う2つのシステムを使用する。
気になったのがグリセリンの処理。現在では回収業者に販売している。いっぽう施設内で、純度の高いグリを抽出したり、脂肪酸の多いグリをBDF生産に回すための研究を進めているという。この施設を見たところ、BDF精製工程で巨大ボイラーを使用していたので、その気になればそれにも利用できそうだな。
施設内で走っている車は、公用車ではないので、残念ながらすべて石油で走っているそうだ。
日本でもこれだけの規模の施設はあまり見たことがない。韓国のBDF事情も少しづつわかってきた。
Eco Solutionsのキム社長、皆さん、貴重なお話をありがとうございました。
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