釜石へ救援物資を運ぶ vol.03 = 倒壊した街 =

避難所へ救援物資を届けた後、情報を集めることにした。
じつは釜石に住む友人のお母さんの安否が不明との知らせをうけていたので
僕らはその安否を確かめるべく住所を頼りに倒壊した街へと入った。
「TVで見た映像は、家の200mほどそば。高齢で逃げられているかどうか…」という。
釜石駅まで行くと警察が封鎖していてそこから先は一般車両は入れない。町に入るにはその周辺に車をとめて歩いて進むことになる。僕はこの町に来たことがないので、地の利はわからない。いつもこの旅で使っているポータブルGPSを車から外して手持ちで目指す方角へと進む。
地元らしい方にその方の名前を聞いてみるが、わからず。GPSに入れた住所を頼りにお宅に辿り着くと無事お会いすることが出来た。到着してみるとお寺は避難所になっていた。すぐ目の前まで津波はきていたが、間一髪で逃れた場所だった。そうして無事にお会いすることができたのだ。ほんとうにほんとうによかった。
お母さんは「私は娘がどうなったかと、とても心配で心配で仕方なかった」と仰っていた。「娘さんはご無事でおられますよ、お母様のことをとても心配されていたんですよ」とお伝えすると、ほっとしたような笑顔を見せて何度も頭を下げるようにしてありがとう、ありがとうとお礼をいただいた。

このお寺さんでもそうだったのだが、未だ多くの避難所には電気がきていない。
こうして倒壊地域にかぶっている避難所は、細々と発電機で最低限の電気を確保している状態、もしくは発電機もない状態のため、外部へ連絡をとる手段は何ひとつない。途方もないがれきの山を目前にしながら、日々必要なごく最低限のものを確保するだけで精一杯だ。そんな中で皆さん助かった同士、身を寄せ合って生きていた。
釜石や他の地域でも、こうして連絡がとれず安否がわからない方が大勢いらっしゃると思う。どうか希望を捨てないでほしい。
※ 釜石に通じる道は一本しかなく、しかも山道は狭い。トンネルは停電中。そこに自衛隊や支援部隊の大型車両が往来する。
ガソリンがない状態で入ったり、渋滞状態になってしまったり、まして事故でもおきれば、避難所の皆さんに必要な物資すら届かなくなってしまう。未だ余震も続いているので、十分注意も必要だ。支援する方はそういったことを十分に考慮した上で行動したい。
街の様子は、目を疑うような光景だった。
ほとんどの家が形をとどめておらず、形はあってもすべてが壊滅状態だ。車も至る所でとんでもない格好でひっかかっている。
大きな道はすでに障害物が避けられていて道だとわかったが、その他の細い道は、瓦礫の山でもはや道がどれだかわからない。
街がまるごと津波によって流されてしまったのだった。


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