山田町の「写真屋KON」さん
ご家族は無事でしたが、家も写真店もすべて流されてしまいました。
現在はこの仮設テントの商店街で店舗をもち、コンパクトデジカメひとつでお店を再開しました。
そのKONさんへ、一眼レフカメラ・レンズセットをお届けです。
KONさんは笑顔で「わぁ……すごい感激です、ありがとうございます。こんなにはやく……まさかこんなにいいカメラが手に入るとは思いませんでした」とカメラをしっかりとにぎって何度も見つめていました。
以前使っていたものと同じメーカーのボディ、レンズ1本はまったく同じものをお渡しすることができました。
今いちばん撮りたいものは?と聞くと
「……4月に生まれた子供を撮りたいです。自分のカメラではまだ撮っていないので。ちょうど2か月になるんです」と、とびきりの笑顔を見せてくれました。
KONさんは三人の子供のお父さん。
この山田町で奥さまと共に街の写真屋さんを営んでいました。
「お客さんにすぐプリントをお渡しできるように、スピードプリントをしていたんです。卒業式ですとか、学校行事の撮影も行っていました」
3.11の当日。KONさんとお店にいた奥さまは、3人目のお子さんがお腹にいて臨月を迎え、いつ生まれてもおかしくない時期でした。地震がおさまるとすぐにKONさんはシャッターを閉め、家族を実家へ避難させ、店にもう一度戻ってこようと思った。そうしたら津波が先に街を襲ってしまったのです。
「家族を送り届けて、もう少し早く車で店に走っていたら、途中で津波に流されていましたね。あと3分のところで、命が助かったんです」
現在のお店の前には、今はもう使えない泥だらけの愛機が飾られています。
がれきの中から誰かが見つけてくれたのでしょう。震災後、お店のもとあった場所にそっと置いてあったのだそうです。
店にあった機材も商売道具も何もかも流されてしまいましたが、店を出る時、唯一持ち出したものがあります。
それはお客さんから頼まれた、プリントの仕上がりでした。
「そのプリント、まだ連絡つかない方が何人かいらっしゃるんですよ。こうしてお店を開いていれば、取りに来てくれるかなと思って……待っているんです」
「写真屋KON」は、山田町の仮設テント” なかよし公園商店街” にあります。
プリントにお心当たりのある方は、訪ねてくださいね。KONさんが待っています。
物資をご協力頂いた皆さん、ありがとうございます。