両石・鵜住居・片桐・大槌地区の状況
釜石市街の北にある、両石・鵜住居・片桐・大槌地区の詳しい状況が得られないので、実際に訪れてみることにした。夜だったので海岸の被害の模様が確認できなかったのだが、現地の方に聞いてみると、数キロおきにある各街が、ほぼなくなってしまうような大きな被害を受けたことがわかった。
【両石地区】
被災せず残った家屋はなく、街が全倒壊してしまったという。そのため、この地区に避難所はない。45号線の旧道は通れない。
【片岸地区】
高上がりになっている場所は倒壊を逃れたが、それ以外は全倒壊。
【大槌地区】
津波による被害に加え、火災による二次災害のため、湾を囲む街がほぼ全消失してしまった。
【鵜住居地区】
この地域には内陸へ向かう35号線沿いに、2箇所の炊き出し所や3か所の避難所がある。
↓今必要なモノを聞きました。
「鵜住居地区では物資が足りていない」という情報が流れていたので、果たして本当なのかどうか、確かめるべく避難所へ向かった。結果、必要なのは他地域と同様ガソリンだ。「燃料がないから、倒壊した家を見にいくこともできない。行方不明の家族を捜すことも、死体の身元確認すら行くこともできない」とのこと。
なお、食料は不足していなかった。本当に必要なものは何か、現場で聞き、書き出してみた。
<<<< 栗林小学校(避難所) >>>>>>>>>
300名(うち子供約40名)が登録。
倒壊していない家の場合、「避難所に登録して食べ物の配給のみをうけつつ、家に滞在している」という人も約10〜20名ほどいる。今後はそういった人が増えていく見込み。
【今必要な物資】
◆ ガソリン
◆ 灯油
◆ 軽油
ここでは食料や物資などはほぼ安心できるほどある。ほしいのはとにかく燃料だ。燃料がないから、倒壊した
【その他メモ】
・ 簡易ミソ汁が今、300に足りないので、在庫とあわせて300にできる量がほしい
・ 周辺には農家が多いため、食料は安心できるほどある。その他の物資も現在足りている。
・ とにかくガソリンと灯油がほしい。
・水はあるので、水よりも味のあるものがほしい
・缶ジュース類やカップラーメン等は数が半端だと出し難いので、数を人数分で揃えてほしい
(人数分がない場合はでも、貯めて揃ったら出せるので有り難いけれど)
・今日からドコモの衛生電話が設置された
<<<< 栗林地区コミュニティ消防センター(炊き出し所) >>>>>>
ここでは「栗林小学校」(約300名)と「栗橋地区基幹センター」(お年寄り中心に約100名)の2箇所に食事を炊き出しして届けている。
【今必要な物資】
◆ラップ(衛生的におにぎりを包まなければならない。30cm×10mを、1日6本使う)
◆ つけもの(数は人数分なくてもよい。分け合える少しの量で構わない)
◆ 水なしでできるシャンプー
◆ 歯ブラシ(大人用はもちろん子供用もほしい。栗林小では子供は約40名)
◆ 大人用、とくに女性用の下着(シャツ・靴下・パンツ)
◆ 生理用パンツ(生理用品はすでにある。パンツがほしい)
◆ ホット用のお茶ペットボトル(現在紙コップを使用しているが、すぐにだめになってしまう。何度でも使いまわしてホットのお茶を飲みたいため)
◆ 衛生用ゴム手袋(おにぎりを握ったり調理する際に使用)
◆ マスク
◆ 携帯ミソ汁(すぐ食べられるチューブ状のもの)
◆ 離乳食を食べさせるスプーン(数個)
【その他メモ書き】
・現在は調理にプロパンガスを使用(なくなったら終わり)
・農家が多いため現在ミソはある
・物資は、釜石本部からは主に衣類が届く。その他の食材は花巻や盛岡から届けられている
・生タマゴ(生モノだけど)もあればもちろんほしい
・例えば小学校では300人分いっぺんにあるのがベスト。しかし分けられるものの場合は、一つを2人でわけたりグループでわけて食べるのもOK
<<<< 上栗林地区集会所(避難所) >>>>>>>>>
【今必要な物資】
◆とにかくガソリン
ここには自衛隊が物資を運びに来るという。食料やその他の物資はもう足りているが、とにかくガソリンがないから移動できない、とのこと。
<<<< 宝来館(避難所??) >>>>>>>>>
ここは海辺にある宿だが、高台にあるため津波の被害を逃れた。
どうやら避難している人がいるようで、ある日オカミさんが栗林小学校に「お米をわけてほしい」と、徒歩で現れたそうだ。片道8キロもある道のりを、歩いて来て、お米をかついで帰るのはとても大変だ。しかも災害地区の道を通るので、足場も悪い。
今も食材に困っているのではないかと思い、急いでここへ向かったが、残念ながら手前1.5キロでがれきの山に道がふさがれて車が通れなかった。夜も遅いし、雪も降っている。明日、日のあるうちにまた行ってみることにしよう。皆さん無事でいてくれるといいのだが。