エネルギーを自給自足

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使い古した天ぷら油を使って車の燃料を作りながら日本を走り続けていると、生活するためのエネルギーや食料も自給自足してみたいと考えるようになってきた。旅先でエネルギーや食料を実際に自分で作りだしたり、ゴミをリサイクルして有効利用している人達に会ってみると、近い将来「出るゴミがゼロ」「かかる費用もゼロ」「エネルギーは自給自足」という生き方は可能かもしれないと思うようになってきた。
バイオディーゼルアドベンチャーの旅中、面白いエネルギー利用について知る機会が沢山あった。中でもバイオディーゼル燃料を通して出会う人々は、環境問題やエネルギー問題への関心が非常に高く、彼らのライフスタイルを見てみると、生ゴミや間伐材、家畜の糞尿などからできるバイオマスを「バイオ燃料」として再利用し、環境に負担をかけず、さらにコストも安く押さえて生活しているのだ。今まで不要なもの=ゴミとして捨てられていたバイオマスは、ガスや電気、暖房などの資源となるわけだ。驚くことに、うまく利用するとお金を生み出してしまうのだ。さまざまな環境を利用してそれぞれの方法で自給自足する試みが各地で広まってきている。
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太陽光を利用したソーラー発電↑         バイオディーゼルプラントで車の燃料を作る↑
ある農家では、「生活費のかからない “夢のゼロ円生活” 」を実現していた。例えば、自宅や農場で使うガスや電気は、生ゴミを発酵させてできるメタンガスや太陽光パネルから作る。農業機械やトラックの燃料として、廃食油からできる自家製バイオディーゼル燃料を使い、そこから出る副産物のグリセリンでお風呂などを沸かす。生きるために必要不可欠な水は、雨水や井戸を利用していた。普段の食料は自宅でできた農作物で自給自足。さらに余った電力は電力会社に売電をしているから、電気はただどころか収入源にもなっている、というわけだ。
日本各地で、廃棄物を有効利用した地産地消のエネルギーでお金を生み出す、そんな試みがされているのをこの目で視てきた。これらは無駄が無いだけでなく、二酸化炭素の排出量も減らせるため、地球温暖化による気候変動への影響を最小限にできるひとつの方法にもなっている。
また、間伐材を利用した薪ストーブを利用する、つまり”薪”を使うことが、森の再生につながることをご存知だろうか。森は計画的に伐採と植樹をすることで、いい状態に保たれ、薪という持続的なエネルギーが作られる。さらに薪ストーブを使うことで「どんな薪がストーブに向いているんだろう?」「どうしたら良く薪が燃えるんだろう?」などと考えるようになり、薪の生まれた森や山など自然についても思い巡らすようになる。
ストーブに薪をくべ、お湯を沸かしながら、ゆらゆらと揺れる火を愉しむ。ゆったりとした時間が生活の中に入ることで、やがて心の余裕が芽生えてくる。早さや効率だけを追求するのではなく、そのエネルギーを作ったり、加工する過程も楽しむことが生活の豊かさに繋がっていくのではないだろうか。
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森を再生する薪ストーブ↑              生ゴミをバイオガスとして再利用する↑
これからの時代は、人間からみた必要なもの、必要のないもの(ゴミ)という考えを改め、「存在するすべてのものに不要なものはない」というところに意識を向け、活かし合うということ。そして食料やエネルギーに対して自分の手をかけることの喜び。そんな豊かさを感じられる生き方が必要になっているのではないかと思う。近い将来、電気やガスといったエネルギーを自ら楽しんで作り、食料も自宅の畑から自給する……そんな家やコミュニティもさらに増えてくるに違いない。
さて、この旅が終わったら僕も土地をみつけて自給自足する生活にトライしてみたくなってきた。
■ 「バイオマス」:家畜排せつ物や生ゴミ、木くずなどの動植物から生まれた再生可能な有機性資源のこと。

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