秋田運送のBDF精製工場

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BDFを作る。そのために、ただ「油を回収してリサイクルしよう」ではなく、「耕作放棄地に菜種を植えて、美しい花を観賞し、美味しくて安全な油を食べて、その廃油をBDFにしていこう」といった一連のストーリーが見えれば、人々はもっと楽しめるし夢も膨らむのではないだろうか。
まさにその一連の循環を作りたいと願うのが「NPOあきた菜の花ネットワーク(以下NPO菜の花ネット)」の活動だそう。その取り組みの中のひとつであるBDFの精製について伺った。
「NPO菜の花ネット」の会員で、県内でBDFを背精製しているのは8か所、会員外も含めると14か所で精製しているそう。このネットワーク内では、他へ販売せず自家消費する。つまりBDF100%を作り自己責任で使用している。
この「NPO菜の花ネット」を発足させた秋田運送でも、BDFを精製し、運送車両に使用しているというので、見学させて頂く。
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1バッチ約2000リッター。現在はほとんど毎日フル活動なのだそう。
まず加熱して不純物をのぞいてろか機を通し、前処理をしっかり行ってから、エステル交換。メタとグリをとり除いて最後はイオン交換樹脂を使う。
それぞれの行程の各装置を見ると、トラックのサイドバンパーを手すりにしたりと、なんとほとんどが手作り。静置する行程は、いらなくなった列車の貨車を安価で手に入れて、その中で行っている。
「お金はかけない、知恵を使う!」をモットーに、自社のトラックなどの廃材を利用して、できる限り精製機を自作したそうだ。「工場内で唯一他社製のものといえば、油カスの濾過機だけ。こっちの加熱装置はみようみまねで、うちのクレーンの運転手が作ったんですよ。だからつぎ目がほら、見えるでしょう」と工場責任者の阿部さん。
ろ紙の値段が高いので、他の安価なもので代用したり、最後の最後で見えないグリをとるためにねばってみたりと、試行錯誤も非常に熱心だ。
阿部さんご自身も、B100を入れて運転していたトラック運転手。現在は専属で精製担当をしている。「あきた運送方式とか言われています。コップ点検も各行程で行って、品質をチェックしているんですよ」
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僕のクルマと同じイオン交換樹脂を使っているところは、日本ではほとんど見られない。しっかりした前処理はもちろん、2000リッター級の精製機を手作りで頑張っているのがすごい。
トラックには、寒期にBDFが固まってしまわないよう、加熱するために工夫がされ、それぞれの箇所でのBDFの温度がわかるようになっていた。このデータを秋田県立大学が解析しているのだそう。
この規模、廃材の利用、熱心な研究に、すごいなーと関心していると……NPOの石田社長さんがいらっしゃった。周囲の反対を押し切り、BDFを作ろうと言い出したご本人なのだそうだ。
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御歳なんと89歳。とても若々しくお元気な会長さん。「男のロマンですね〜」と熱心に目を輝かせて僕の車を見て頂いた。
会長さんもB100を使用中。クルマを拝見すると、BDFのステッカーが貼ってあり、天井には”安全パトロール車”と書かれたライトが。「タクシーと間違えられて、手を上げられるんですよ」と笑う。ほんと、タクシーのようだ!社長さんのお人柄を表すように、清々しく愛らしいおクルマだった。街中では「おじいさんが運転するタクシーみたいなパトロール車は、てんぷら油の匂いがする」と評判なのではないかな!?
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最後に、石田さんのご厚意でBDFを30リッターほどわけて頂いた。丁寧に作られたBDF、とてもありがたい。
鈴木さん、阿部さん、そして石田社長。1日ご案内を頂き、ご丁寧な対応をどうもありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています。来年も菜の花が元気よく満開に咲きますように! 応援しています。

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