米澤さんと白神へ vol.03 —父さんブナとブナ林ー

FDW14697.JPGのサムネール画像
えっさえっさと登り初めて1時間をこえた。ところどころぬかるみがあり、それをさけながらまだまだ進んでいく。
「さぁ、ここから僕は後からついていきますから、どうぞ先頭で歩いてください」と米澤さん。
歩き出すと、目の前には美しいブナの林が。葉っぱのカーテンが太陽光を透過して、美しいグリーン色に輝いている。不思議とブナの森はとても優しく感じられる。
ところどころ老木を見るが、大きなブナはいない。標高の?いほうが雪も風も勢いは厳しく、その厳しい分だけ太くならないのだそうだ。核心地域もそんなに太い木があるわけではないという。
「さぁ、あともう少しですよ!」米澤さんに声をかけられ、ブナの森を登っていく……と、あっ! 目の前に1本の老木が表れた。
これが”ファザーツリー”だ。
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山道沿いの斜面ギリギリに立つ巨木。でこぼこした木肌は深い緑色をした地衣類に覆われ、根っこを毛細血管のように山道まではわせている。
亀裂の中をよく見ると、腐ってしまったのか、子供ひとりは入れそうなほどの空洞になって土がたまっていた。それでもなお力強く枝と葉を広げて、しっかりと生きている。
「この老木はもうこれ以上太くはなれないでしょう。私は冬をこえていちばん始めに山に入るときは、いつもこのファザーツリーに会いにくるんです。あぁ今年もたってた、よかったなって」
この場所の守り神であろうファザーツリーに感謝と敬意の祈りを捧げ、さらに歩いていく。
その先の尾根にあるブナの森がまたすばらしい森だった。その場所は米澤さんもとても好きな場所なのだそうだ。
ブナの森。ここに来て人それぞれ感じるものは違うだろうが、私たちも自然の一部。人間の遺伝子には森を気持ちいいと思ったり、森を感じたいという本能があるのだという。
大人はもちろん、一人でも多くの子供たちにこの森を体験させてあげられれば、地球の未来はもっと自然と共存できる方向へシフトし、豊かなものになっていくのではないかな。

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