ほほえみの宿とBDFの関係

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今日もいい天気。すさまじい暑さが続く。が、時々にわか雨も降る。
旅は山形へ入った。
ここ山形は昨年の10月に講演をさせて頂いたり、バイオディーゼル燃料を熱心に推進されている山形市長と対談をさせて頂いたり、ご縁のある場所でもある。
じつは、山形のバイオディーゼル事情を調べているうちに、温泉宿でBDFを作られている方のブログ「縁の下の力持ち」に辿り着いた。そのブログの主は吉田栄二さん。どうやらBDFを精製し、送迎車などに使用しているという。コンタクトをとったところ、僕らのプロジェクトにも興味をもって頂けて、訪問することになった。
その吉田さんがいらっしゃる宿が、天童温泉の「ほほえみの宿 滝の湯」。
広々とした玄関に辿り着くと、BDFを担当されている吉田さんや皆さんが出迎えてくれた。同じ玄関前にとめてある送迎車を見ると、BioDeiselのステッカーが。この車でBDFを入れてゲストの皆さんを送り迎えされているのだろう。
IMG_0322sxc.JPG IMG_1919sxc.JPG IMG_1946sxc.JPG IMG_1955.JPG DSC_4534sx.JPG DSC_4589sx.JPG DSC_4559.JPG DSC_4553.JPG
この日は玄関で電源をお借りして燃料を作りながら、車を展示。宿の環境委員会の皆さんへもミニ講演をすることに。そうして今晩は「ほほえみの宿 滝の湯」さんに泊めさせて頂くことになった。とてもありがたいお申し出だ。クルマを実際に見て頂くことで何か少しでも皆さんのお力添えになれればなあと思う。
さっそく3時半から末広の間にて、プロジェクターを使ったミニ講演をスタート。まだまだお忙しい時期にも関わらず、ホテルの環境衛生委員会の皆さんが集まり熱心に聞いてくださった。山形でBDFを精製する石山さん、BDFの機械を制作するトータルシステムの志斎さん、今井さんらもかけつけてくれた。
トーク内容は主に「世界一周で見てきた世界のバイオディーゼル&エネルギー事情」について。
「エネルギーリサーチをしてどの場所がいちばん印象に残っているか?」「環境を守ることに対してお金をかけられないような国々も見てどう思ったか?」など熱心なご質問がとびかった。
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この宿では、環境衛生委員会を作り、地球にも人にもローインパクトな配慮を少しでも実現すべく挑戦している。そのひとつがBDFの取り組みだ。
厨房から出る油でBDFを精製し、送迎用のマイクロバス1台&ワゴン1台、荷物などを運ぶ作業用トラック2台、農耕トラクター1台に使用している。
主に年間8000リッターを作る。うち5000リッターはBDFとして車両に使用。残り3000リッターはボイラーなどに使用するそうだ。
「厨房から出る油の量はお食事のメニューによっても違いますから、思わず多く出る日も、逆に少ない日もありますが、ほぼ2日に一度は精製する作業量です」と吉田さん。
その厨房から出た油を、ありがたいことに少しわけて頂いた。この油がきれいで、上品な香りが漂っていた。有機野菜を中心とした体に優しいメニューにこだわりをもたれているからだろう。廃食油も、作る人や調理する人の心が、そのまま表れるものなのだ。
吉田さんをはじめ、スタッフ皆さんにその油を注いでもらう。「実際の作業や続けていくことは地味で地道なものですが、このクルマに出会って勇気をもらいました!!」とうれしいご感想を頂いた。
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施設管理課の主任を務める吉田さんは、この宿のBDF精製を一任されている。BDFの精製現場を案内してもらえるとのことで、見せて頂くことに。
厨房で使われた油はポリタンクで1箇所に集められ、2日に一度、精製機を回してBDFを作る。精製機は1バッチ100リッターの、トータルシステム社製。触媒はメタノールと、水酸化ナトリウムを使用している。水洗浄を行い、静置は約1時間。最後は1ミクロンのフィルターを通して完成だそう。
「朝作れば夕方には完成します。ホテル業務の合間に作業していますから、タイマーが鳴ったら精製機の所に戻って……を繰り返します」と吉田さん。
 BDFを始めたのがちょうど2年ほど前。社長にBDFを作ってみないか、担当してみないか、と言われたのがきっかけ。それ以来、トータルシステムに通って勉強し、試行錯誤して作られているそうだ。「やってみたら楽しくて仕方ないんですよ! その日の油によって反応具合が違って本当におもしろいんです」と吉田さんは笑う。
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この宿では、ゲストの健康はもちろん環境へ配慮する取り組みがさまざまなされているという。例えば料理の食材。自家農園で栽培した無農薬有機野菜を作り、天然調味料を使って調理している。「お客様に新鮮かつ、体と自然に優しいお野菜を食べて頂きたい」という社長さん自らの強い意志で、約15年前から栽培を開始。現在では2000坪以上になる敷地で、無農薬野菜を作っているそうだ。
さらに残飯は堆肥にしてこの農場へ。BDFの精製過程で出るグリセリンは、発酵促進のため一緒にコンポストに入れて堆肥づくりに利用。農場のトラクターにはBDFを使用している。
こうして循環型有機農法を実現させているのだ。同じくこの有機栽培で、オリジナルワイン「陽だまり」も作っている。この自家製有機ワインがフルーティで飲みやすいと評判なのだそう。僕はお酒が飲めないのだけれど、聞くだけでもとても美味しそうだ!
気になったのは、残飯の生ゴミから出るメタンガス。数百人が集まる宿だから、一般家庭の比にならないほどの相当量のガスが採取できるはず。メタンガスで電気を作る事ができるので、うまく利用できれば、もっと循環の輪が大きくなるんじゃないかな、なんて思ってしまった。
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施設をご案内頂いた後は、無農薬有機野菜を使った夜ご飯を頂いた。余分な味付けは削いで、その食材の旨みを生かした味付けは、とても優しくて美味しいものだった。
夜はゆったりと温泉につからせて頂いた。じつはそのお風呂でも環境への配慮がされていた。母なる最上川や海をきれいにしていこうとの思いから、石けん類は環境に配慮したものを置いている。お部屋の使い捨てのアメニティも極力減らし、プラスチック製品のゴミの軽減にも尽力されているそうだ。
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皆を癒す温泉宿。そこは、さまざまな人が集まる交差点でもある。体にも地球にも優しい施設であるなら、もっともっとたくさんの人が集まってきて、輪がどんどん大きくなるように人の気持ちにも影響していくのではないかな。

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ほほえみの宿とBDFの関係

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今日もいい天気。すさまじい暑さが続く。が、時々にわか雨も降る。
旅は山形へ入った。
ここ山形は昨年の10月に講演をさせて頂いたり、バイオディーゼル燃料を熱心に推進されている山形市長と対談をさせて頂いたり、ご縁のある場所でもある。
じつは、山形のバイオディーゼル事情を調べているうちに、温泉宿でBDFを作られている方のブログ「縁の下の力持ち」に辿り着いた。そのブログの主は吉田栄二さん。どうやらBDFを精製し、送迎車などに使用しているという。コンタクトをとったところ、僕らのプロジェクトにも興味をもって頂けて、訪問することになった。
その吉田さんがいらっしゃる宿が、天童温泉の「ほほえみの宿 滝の湯」。
広々とした玄関に辿り着くと、BDFを担当されている吉田さんや皆さんが出迎えてくれた。同じ玄関前にとめてある送迎車を見ると、BioDeiselのステッカーが。この車でBDFを入れてゲストの皆さんを送り迎えされているのだろう。
IMG_0322sxc.JPG IMG_1919sxc.JPG IMG_1946sxc.JPG IMG_1955.JPG DSC_4534sx.JPG DSC_4589sx.JPG DSC_4559.JPG DSC_4553.JPG
この日は玄関で電源をお借りして燃料を作りながら、車を展示。宿の環境委員会の皆さんへもミニ講演をすることに。そうして今晩は「ほほえみの宿 滝の湯」さんに泊めさせて頂くことになった。とてもありがたいお申し出だ。クルマを実際に見て頂くことで何か少しでも皆さんのお力添えになれればなあと思う。
さっそく3時半から末広の間にて、プロジェクターを使ったミニ講演をスタート。まだまだお忙しい時期にも関わらず、ホテルの環境衛生委員会の皆さんが集まり熱心に聞いてくださった。山形でBDFを精製する石山さん、BDFの機械を制作するトータルシステムの志斎さん、今井さんらもかけつけてくれた。
トーク内容は主に「世界一周で見てきた世界のバイオディーゼル&エネルギー事情」について。
「エネルギーリサーチをしてどの場所がいちばん印象に残っているか?」「環境を守ることに対してお金をかけられないような国々も見てどう思ったか?」など熱心なご質問がとびかった。
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この宿では、環境衛生委員会を作り、地球にも人にもローインパクトな配慮を少しでも実現すべく挑戦している。そのひとつがBDFの取り組みだ。
厨房から出る油でBDFを精製し、送迎用のマイクロバス1台&ワゴン1台、荷物などを運ぶ作業用トラック2台、農耕トラクター1台に使用している。
主に年間8000リッターを作る。うち5000リッターはBDFとして車両に使用。残り3000リッターはボイラーなどに使用するそうだ。
「厨房から出る油の量はお食事のメニューによっても違いますから、思わず多く出る日も、逆に少ない日もありますが、ほぼ2日に一度は精製する作業量です」と吉田さん。
その厨房から出た油を、ありがたいことに少しわけて頂いた。この油がきれいで、上品な香りが漂っていた。有機野菜を中心とした体に優しいメニューにこだわりをもたれているからだろう。廃食油も、作る人や調理する人の心が、そのまま表れるものなのだ。
吉田さんをはじめ、スタッフ皆さんにその油を注いでもらう。「実際の作業や続けていくことは地味で地道なものですが、このクルマに出会って勇気をもらいました!!」とうれしいご感想を頂いた。
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施設管理課の主任を務める吉田さんは、この宿のBDF精製を一任されている。BDFの精製現場を案内してもらえるとのことで、見せて頂くことに。
厨房で使われた油はポリタンクで1箇所に集められ、2日に一度、精製機を回してBDFを作る。精製機は1バッチ100リッターの、トータルシステム社製。触媒はメタノールと、水酸化ナトリウムを使用している。水洗浄を行い、静置は約1時間。最後は1ミクロンのフィルターを通して完成だそう。
「朝作れば夕方には完成します。ホテル業務の合間に作業していますから、タイマーが鳴ったら精製機の所に戻って……を繰り返します」と吉田さん。
 BDFを始めたのがちょうど2年ほど前。社長にBDFを作ってみないか、担当してみないか、と言われたのがきっかけ。それ以来、トータルシステムに通って勉強し、試行錯誤して作られているそうだ。「やってみたら楽しくて仕方ないんですよ! その日の油によって反応具合が違って本当におもしろいんです」と吉田さんは笑う。
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この宿では、ゲストの健康はもちろん環境へ配慮する取り組みがさまざまなされているという。例えば料理の食材。自家農園で栽培した無農薬有機野菜を作り、天然調味料を使って調理している。「お客様に新鮮かつ、体と自然に優しいお野菜を食べて頂きたい」という社長さん自らの強い意志で、約15年前から栽培を開始。現在では2000坪以上になる敷地で、無農薬野菜を作っているそうだ。
さらに残飯は堆肥にしてこの農場へ。BDFの精製過程で出るグリセリンは、発酵促進のため一緒にコンポストに入れて堆肥づくりに利用。農場のトラクターにはBDFを使用している。
こうして循環型有機農法を実現させているのだ。同じくこの有機栽培で、オリジナルワイン「陽だまり」も作っている。この自家製有機ワインがフルーティで飲みやすいと評判なのだそう。僕はお酒が飲めないのだけれど、聞くだけでもとても美味しそうだ!
気になったのは、残飯の生ゴミから出るメタンガス。数百人が集まる宿だから、一般家庭の比にならないほどの相当量のガスが採取できるはず。メタンガスで電気を作る事ができるので、うまく利用できれば、もっと循環の輪が大きくなるんじゃないかな、なんて思ってしまった。
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施設をご案内頂いた後は、無農薬有機野菜を使った夜ご飯を頂いた。余分な味付けは削いで、その食材の旨みを生かした味付けは、とても優しくて美味しいものだった。
夜はゆったりと温泉につからせて頂いた。じつはそのお風呂でも環境への配慮がされていた。母なる最上川や海をきれいにしていこうとの思いから、石けん類は環境に配慮したものを置いている。お部屋の使い捨てのアメニティも極力減らし、プラスチック製品のゴミの軽減にも尽力されているそうだ。
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皆を癒す温泉宿。そこは、さまざまな人が集まる交差点でもある。体にも地球にも優しい施設であるなら、もっともっとたくさんの人が集まってきて、輪がどんどん大きくなるように人の気持ちにも影響していくのではないかな。

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