4月10日(木) 晴れ モールディン→グリーンビル(SC)
今日はジョージア州からサウスキャロライナに入る予定。夕べ化学反応を済ませて沈殿させてあった燃料を確認し、早速ハイウェイに乗る。本当言うと、時間が許せばフロリダ方面へ入ろうかと思っていたのだが、マイアミやキーウェストへの距離を考慮すると、燃料の精製が追いつきそうもない。残念だったけれど、フロリダ入りは諦めることにした。
休憩を兼ねてアトランタの町に寄った。ここには、CNNニュースの本拠地がある。コカコーラのワールドミュージアム横を通り過ぎ、CNNにランチを兼ねて見学することにした。
サウスキャロライナでは、今まで出会った方たちのネットワークが広がっており、多くの方から「近くに来るのなら会いたい。」「廃油を寄付したい。」という声をかけていただいていた。もちろん僕たちは燃料に余裕はないので、すべての方たちに会いに行くわけにはいかない。その中で、ちょうどすでに約束のあるノースキャロライナへのルート上にあるバイオディーゼルの協同組合からの強い要望があり、立ち寄らせてもらうことになった。急に連絡し、予定より遅くなってしまったにもかかわらず、ウェインとアレックスをはじめコープのメンバーとその家族、彼らが呼んでくれたテレビカメラマンのジェイソンは、嫌な顔ひとつせず待っていたくれた。
ウェインとアレックスは、「バイオディーゼルを作ってみないか?」というインターネットでのウェインの呼びかけがきっかけで知り合った。「掲示板に載せて、何ヶ月も待ったのに、誰からも何の音沙汰もなかったんだ。ところがある日忘れた頃に、アレックスから連絡が来て、一緒にバイオディーゼルのコープをやろうということになった。」アレックスも僕も、家の台所で少量を試すのに飽き飽きしてきた頃だよ。」廃油をこすフィルターを買うのはもったいないから、メンバーの一人チャーリーがスリフトショップから1ドルでジーンズを買ってくる。太ももの部分を切り、細いほうをウェインが縫いとじてフィルターを作っている。僕たちが廃油がなくて困っていると伝えてあったので、作業場を引っ越したばかりで精製を休んでいたようなのに、無理をしたのだろうか、僕らが着いて一段落すると「廃油が必要なのだろう。」とドラム缶からポンプでくみ出し、廃食油を分けてくれた。
アメリカに入った時にはその存在すら知らなかったグリーンビルという町で、僕らは予想外の歓待を受け、予定が遅れてしまったのを言い訳に今夜はこの町に宿をとることにした。夕食は、ウェインの奥さんのステイシーのススメに従い、近くの中華料理屋で親睦会となった。急な誘いをかけたのに、みんな都合をつけてくれて、楽しいひと時を過ごしながら、バイオディーゼルの話題で持ちきりだった。「オー、僕たちが初めて作ったBDFは、ひどかったよ (It was not pretty.)。サンプルが今でもとってあるから、後で戻ったときに見せてやろう。」バイオディーゼル関係者に会うと、いつもこんな話で盛り上がる。バイオ燃料は新しい。誰も本当のことろを知らないのだから当たり前なのだが、わからないからこそ失敗や成功を繰り返して、一歩一歩学びながら燃料とつきあっていく感が強い。それを面白いと思える人が、世の中にこんなに何人もいるなんてちょっと感動ものだ。いわゆるハウトゥー本が少ないので、インターネットでのネットワークが広がっているのもよくわかる。わいわい言いながら、彼らの辛抱強さとユーモアのセンスに、今夜もまた脱帽した。
廃油回収量 140L
BDF 80L
走行距離 383km
反応 1回
お世話になった人たち: ウェイン&ステイシー、アレックス&レイチェル、ボブ、チャーリー、デレック、ジェイソン(TV)