4月12日(土) 晴れ ピッツボロ(NC)→ブーヌ(NC)
南部から東海岸にかけていくつかある訪問候補地中ので、今回キーになっていると感じていたのは、ノースカロライナだった。昨日から来ているピードモントに加え、もう少し西にあるブーヌという町にあるアパラチア州立大学も訪ねたいと思っていた。そこでは、学生がバイオディーゼルのプラントを作り、EPA(U.S. Environmental Protection Agency) P3 Design ExpoというDCで開催されたイベントで、2006年にデザイン賞を受賞したと聞いていた。また、ここからニューヨークへ直線で北上するか、以前から行きたいと願っていたナイアガラの滝の辺りまで遠回りできるか・・・。今日訪れるブーヌを出発する時点で、タンクにある燃料と相談して決めようという心積もりだった。
ここピッツボロに来てピードモントの工場を訪ねたとき、意気投合して一晩お世話になったのが、ラッセルという青年だ。彼はピードモントの工場でバイオディーゼルの精製を手伝っている。夕べは彼の家の近くにある自然食品マーケットで、生演奏つきの特別メニューがあると聞いて、夜空を楽しみながら夕食を一緒にした。実はこのラッセル、アパラチア州立大学の卒業生で、2006年のバイオディーゼル・プロジェクトにも関わっていたらしいとわかった。今日会うことになっている、プロジェクトの指導教授ジェレミーがまだ大学院生だったころから知っているという。縁を感じずにはいられず、話をするうちに「狭いけどうちに来て泊まれば?」という話になったのだった。
朝もう一度レイチェルの家があるコープを訪ねると、彼女はフレンチプレスからコーヒーを注ぎながら、ソーラーパネルの話や他に何人か連絡を取るべき人を紹介してくれた。ドイツにいて、バイオディーゼルは嫌いでSVO(Straight Vegetable Oil) の信者だが、ロシアに知り合いがあるから助けになるだろうとか、DC郊外でバイオディーゼルを作っているフランキーなど。シアトルでバイオライルに人を紹介してもらって依頼、どれだけこんな風にバイオディーゼルのネットワークが広がってきたことだろう・・・。
アパラチアの美しい山景色を満喫しながら、ブーヌへ向かう。ジェレミーとは午後3時、大学のプラントで待ち合わせだった。少し早く着いたので、人気のないグリーンハウスやウェアハウスのような建物の周りを歩いてみた。ひとつの小屋の周りには、見慣れた5ガロン入りのプラスチックのコンテナ(大抵のレストランでは、この容器に入った油を購入するため、廃油でバイオディーゼルを作っている人たちには、お馴染みなのだ!)がいくつか並んでおり、どうやってもこれがプラントだろうと思われた。
ジェレミーは思いのほか若いが、アパラチアの男にふさわしくふさふさ、というよりはボーボーのあごひげを生やした、気さくで穏やかな中に情熱をしたためた感じの人だった。そのうち、2006年のプロジェクトに関わっていた元学生のジョン、現在のプロジェクトメンバーの数人、プラントとグリーンハウスの建設を手伝った建築学科の先生などが現れた。お互いのプラントの説明や、情報交換、今後への課題など、話題は絶えない。そのなかでアルジー(藻)の話や、水草を使っての排水洗浄システムなどは、興味深いものだった。
一通り話が終わり、もうひとつのプロジェクトに協力してもらい、みんなが絵を描き始めたとき、ジェレミーが「今日の夕方、僕のバンドが大学のギャラリー・オープニングで演奏するんでけど、来るかい?」と言い出した。音楽好きのタツヤはすっかり乗り気。サッチンも「どんな音楽なの?」とウキウキの様子。もちろん僕も、生演奏が聞けるなんて大歓迎だ。時計を見るとあと20分で演奏開始だというのに、結構悠長なジェレミーの後を走り、大学の校舎があるダウンタウンへ向かった。
彼らが演奏していたのは、地元の人たちが「オールドタイム」と呼ぶ、いわゆる「ブルーグラス」に似た音楽だった。ジェレミーはフィドルつまりバイオリンを弾いていた。ローカルの風景に焦点を絞った複数のアーティストに寄る写真展だったのだが、彼らの軽快なリズムは来た人たちに活気を与えているようだった。横を見ると、もちろんサッチンとタツヤも踊っていた。
ちょうど来ていた「バンフマウンテン・フィルムフェスティバル」にも誘われたのだが、僕らは燃料の精製やウェブの作業が滞っていたので、今夜は残念ながら辞退しなくてはならなかった。
廃油回収 0L
BDF 53L
走行距離 411km
お世話になった人たち、出会った人たち: ジェレミー&ルネ、ジョン、エリカ、クリステル、ブライアン、トッド、ハロルド、ジョナサン、マシュー、メアリー、リー&スペンサー、アダム
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